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2021/06/02 ブログ
こんにちは京橋 銀座みらい歯科の吉竹です。
上顎にインプラント治療を行う際には、先日のブログ(歯性上顎洞炎と副鼻腔炎について)でお話しした上顎洞という構造が解剖学的に避けて通れません。
上顎洞があることで、適切な位置にインプラントができなかったり、歯を抜いた後に残った骨(歯槽骨)から上顎洞底部までの距離(垂直的)が十分でなかったりする場合に、上顎洞粘膜を剥離し、持ち上げることで、上顎洞底部の骨との間に隙間を作り、骨を移植し、インプラントを埋入する方法があります。これが上顎洞挙上術です。
また、上顎と下顎の骨ではそもそもの構造にも違いがあります。そもそも、下顎より上顎は骨が薄いという特徴があります。顎の骨は歯にかかる噛む力を直接的に受けています。主に顎の骨は皮質骨、海綿骨の2つの構造から成り立っています。下顎、上顎の大きな違いは皮質骨と呼ばれる密度の高い骨の厚みにあります。
下顎は他の骨と接していないこともあり、歯から伝わる力を単独で受け止める為、皮質骨が厚いと考えられています。
上顎骨は歯から伝わる力を頭の骨全体で支えるため、太い海綿骨や、厚い皮質骨が必要ないため薄く、細い梁のような構造になっていると考えられています。
インプラントは骨に埋入するので、一定の骨の量が必要になります。そのため、骨量が足りない場合はインプラントの治療が難しくなり、歯医者によってはインプラントができないと言われてしまう場合があり、そこでインプラント治療を諦めてしまう方は少なくありません。そもそも、下顎より上顎は骨が薄いという特徴があるため、そのようなケースが多いと考えられます。
しかし、骨の厚みや幅を作る治療法でインプラント治療は可能になります。上顎に対しては上顎洞挙上術が有効です。
上顎洞挙上術には1.ソケットリフト、2.サイナスリフトの大きく二つの方法があります。
ソケットリフトは、オステオトームテクニックといわれ、インプラントを埋入する際にドリリングを行わずに、オステオトームという器具を用い海綿骨を圧縮します。そして、骨質の改善を行いながら埋入する為の穴(埋入窩)を形成していき、上顎洞の粘膜挙上を垂直的に行います。その後骨を入れ挙上した部位を広げていきます。
ソケットリフトは歯槽骨の頂点からのアプローチになる為、上顎洞の剥離もなく、サイナスリフトに比べると手術の侵襲が少ないメリットがあります。
また、インプラントを同時に埋入することも可能な為、一回法で行うことも可能です。
ソケットリフトのデメリットとしては、垂直的な骨増量に制限があり、症例によっては行えないことがあります。また、直接見えない環境で治療を行う為、実際の挙上を確認できないこともあります。
※サイナスリフトについてはこちらのブログでも紹介しています
インプラント治療での「上顎洞挙上術」サイナスリフトについて
サイナスリフトはソケットリフトとは異なり、水平的に上顎骨側壁の骨を除去し、上顎洞粘膜を剥離、挙上していきます。水平的、垂直的に膜を持ち上げることで大きなスペースを作ることができ、多くの骨を肉眼的に確認しながら転入することが可能となります。
この処置でもインプラントを同時にやる場合もありますが、状況により、半年以上待ってから再度インプラント埋入を行うこともあります。
ソケットリフトとは違い、肉眼的に治療を行うことで上顎洞底部の粘膜の状況などをしっかり確認することが可能となります。
サイナスリフトのデメリットとしては、手術侵襲が大きくなることや、手技が難しいことがあげられます。また、上顎洞粘膜の穿孔が起こる可能性があること、治療期間が長くなることなどもデメリットと言えます。
ソケットリフトとサイナスリフト、どちらの方法を選択するかは、一般的には歯槽骨の頂点(歯槽頂)から上顎洞底までの垂直的な骨量により、歯科医師が判断します。また、上顎洞の粘膜の状況などにより、処置が難しいこともあります。
歯を失ってしまった場合の選択肢として、インプラント治療を希望される患者様も多くいらっしゃいます。
インプラント埋入に必要な骨量が十分でない上顎のケースでも、本ブログでご紹介したソケットリフト、サイナスリフトといった上顎洞挙上術を用いて、できる限り患者様のご希望に添える治療を目指しています。
京橋 銀座みらい歯科では、CTなどを用い、それぞれの患者様の状態を様々な観点から複合的に判断し、理想的な治療法を選択肢、ご説明をさせていただいております。
お気軽にお問い合わせ下さい。
こちらもご参照ください
京橋 銀座みらい歯科|【症例】サイナスリフトテクニック(上顎洞底挙上術)を用いたインプラント治療
京橋 銀座みらい歯科|インプラント
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